こんにちは。
各国の中国に対する動きがいろいろと出てきています。
今回は、いくつかの国の嫌中の動きについての記事をピックアップしていきたいと思います。
印豪仏インドネシア対中路線は米英以外に広がりが。尖閣プレッシャー受けている日本の対策は
アプリも企業も中国語も締め出し――兵士を惨殺され、怒ったインドが繰り出す数々の“中国バッシング”
中国・インドの境界線で今年6月に紛争が起き、インド兵が残忍な方法で殺されて以後、インド国内の対中感情が極度に悪化している。
インドが新型コロナウイルス対応に追われている合間に、中国が勢力拡大を図ったことが背景にある。
神経を逆なでされたインドは、中国の主要アプリ59種類の使用を禁止するなど、矢継ぎ早に報復措置を繰り出している。
中印間には川や湖、山頂付近の雪などが多く、3488kmにわたって国境が決まっていない。
このため長年衝突が繰り返され、1962年10月には本格的な軍事衝突に発展した。
現在は、支配地域を分ける「実効境界線」(LAC)が事実上の国境となっている。
双方がLAC近くを監視しているため、互いのパトロール隊がかち合った時、素手や投石による小競り合いも起きていた。
インド軍は毎年4月にヒマラヤ国境で演習を実施してきたが、今年は新型コロナウイルス流行のため中止となった。
これに乗じて中国軍はLACのインド側に勢力を広げようとした、というのがインド側の見立てだ。
その結果、小競り合いが頻発し、双方は6月6日、平和的解決で一致し、両軍が段階的に撤退することで合意していた。
乱闘が起きたのはその直後だった。
ヒマラヤ山脈のガルワン渓谷で6月15日――。
ロイター通信(7月7日)によると、インド兵が
▽合意に沿って中国側が撤退したか
▽LACのインド側につくった構造物を解体したか――を確認しようとしたところ乱闘になった。
インド側は「中国側が急襲を仕掛けた」と伝えている。
兵士は銃を持っているが、中印の取り決めにより、使用は許可されていない。
このため乱闘は原始的なものとなり、氷点下のなか、素手や、有刺鉄線を警棒に巻き付けた「急ごしらえの武器」による殴り合いとなり、数人が滑落死した。
ロイター通信は、この「海抜4267mでの6時間に及ぶ夜間の衝突」について、殺されたインド兵13人の親族に取材した結果を報じた。
遺族の1人は「現場にいた仲間の兵士から『(自分の息子は)暗闇の中で、クギで喉を切り裂かれた』と聞いた」と語った。
複数の兵士の死亡診断書によると、3人が「首の動脈が切断された」、2人が「(頭部に)鋭利な、または尖った物体による傷があった」という。
インド高官も「衝突は残忍なものだった」と指摘している。
乱闘による死者はインド側20人、中国側約40人とされる。
中国側は死傷者数を発表していない。
中国は最近、対外強硬姿勢を鮮明にし、周辺国と激しく対立している。
長年続いてきたインドとの国境問題においても、南シナ海や尖閣諸島などと同様に、実効支配の強化や現状変更を進める姿勢をあからさまにしている。
インドはこれまで、中国との経済関係を重視し、国境問題も棚上げにしてきた。
米国との関係についても、中国を刺激するのを避けるため、過度な接近を控えてきた。
だが今回の衝突により、それを一転させ、米国との戦略的関係の強化を探る方針に切り換えた。
インドとしては、中国の軍事力とバランスを取るためにパートナーが必要だとの事情もある。
インド国内では、対中強硬姿勢として、商業団体が「強い批判」を表明するために500種類にも上る中国製品のボイコットを呼びかけ、SNS上で拡散された。
ニューデリー近郊にある中国スマホ大手OPPOの工場で抗議デモが起き、習近平国家主席の写真が燃やされる事態にもなった。
インド通信当局は国営通信会社2社に対し、4Gのネットワーク更新や5Gの試験で、中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)や中興通訊(ZTE)などの製品を排除するよう求めた。
空調機や自動車の部品、家具などの中国製品に対し関税をコントロールするなどで輸入を実質的に禁じる
▽中国製品に厳格な品質管理の基準を設ける
▽中国企業のインドへの投資を厳しく審査する――などの動きも出ている。
中国製のスマホ向けアプリを発見して排除するアプリも大流行した。
これを受け、インド政府は6月29日、「59種類のモバイルアプリを禁止する」と発表した。
「インドの主権と統合、インドの防衛、国家の安全と公共秩序を害する」というのがその理由だ。
禁止対象となったのは、中国のIT企業「北京字節跳動科技」が手掛ける動画投稿アプリ「TikTok」に加え、中国版ツイッター「微博(ウェイボー)」▽中国版LINE「微信(WeChat)」▽中国インターネット検索最大手の百度(バイドゥ)の「バイドゥ地図」――など、すべての中国系のアプリという強力な措置だった。
韓国紙、中央日報(8月1日)によると、インドの正規教育課程の第2外国語科目から中国語が除外され、韓国語が初めて採択された。 インド国内に広がった反中感情が幅広い分野に影響を及ぼしているのだ。(Yahooニュースより/2020.8.3)
インドは行動が早いですが、6月の国境付近での乱闘で死者が出たこと、その手口が残忍であったことからも、国民感情を考えると当然の事でしょう。
第2外国語科目からの中国語を排除というのは、すごい決断だなと思いました。
今、日本では、公共機関や交通機関において、中国語表記が英語表記と同様にアナウンスされています。
もしも中国軍から日本人が殺されても、中国語を一切排除することができるのかと想像すると、日本の政治家では迅速に決断できないものと思われます。
軍事費20兆円投じるオーストラリア…その裏には中国の情報・暗殺工作が
先月24日、ハンファディフェンス昌原(チャンウォン)工場で「出征式」が開かれた。
ハンファが作ったレッドバック装甲車2台がオーストラリアのメルボルン港に向け出発する席だ。
オーストラリアは2022年までに「LAND400」という装甲車導入事業を進める。
すでに211台の装輪装甲車を決め、ハンファが挑戦する分野は400台の装軌装甲車だ。
大戦相手はドイツの防衛産業企業ラインメタルの「リンクスKF41」だ。
オーストラリアは2022年までに韓国とドイツの装甲車からひとつを選ぶ。
LAND400の予算は最大200億豪ドル(約1兆5107億円)に達する。
コアラとカンガルーが駆け回り、美しいオペラハウスを持つ国。
オーストラリアと聞いて思い浮かぶイメージだ。
しかしオーストラリアはそれなりに軍事強国だ。
138カ国の軍事力を比較する米国の民間評価サイト「グローバル・ファイヤーパワー」によると、オーストラリアは19位の軍事力を持つ。
イスラエルに次ぐ順位だ。
現役兵力は6万人にすぎないが、軍用機464機と戦闘艦48隻を保有した。
オーストラリア空軍(RAAF)はF/A-18A/BホーネットとF/A-18Eスーパーホーネット戦闘機を運用しており、ステルス戦闘機であるF-35AライトニングIIを買い入れている。
米国海軍の電子戦攻撃機であるEA-18Gグラウラーも11機保有している。
オーストラリア海軍(RAN)には軽空母に改造できるキャンベラ級揚陸艦2隻とホバーツ級イージス駆逐艦3隻がある。手強い戦力だ。
オーストラリアは筋肉をさらにつけようとしている。
オーストラリアは先月1日に『2020年国防戦略更新(2020 Defence Strategic Update)』と『2020国防構造計画(2020 Force Structure Plan)』を発表した。
2016年に出したオーストラリア国防白書の最新版だ。
オーストラリアは2030年まで国防費を増やし軍事力強化に出る計画だ。
今後10年間の国防費の総額は2700億豪ドル(約20兆円)に達すると予想される。
毎年2兆円水準だ。
国防予算を国内総生産(GDP)の2%台に引き上げるという意味だ。
オーストラリアはサイバー戦、情報戦、長距離打撃能力、先端水中監視能力を向上するのに重点を置く見通しだ。
極超音速長距離兵器、無人潜水艦導入も計画に含まれている。
レーザーのような指向性エネルギー兵器も開発する。
オーストラリアはまた、長距離打撃能力を高めるため最大射程距離370キロメートル以上のAGM-158C長距離空対艦巡航ミサイル(LRASM)200基を米国から購入する。
オーストラリアは地上打撃能力を補完するために自走砲と多連装ロケット導入事業を始める。
韓国の自走砲であるK9と多連装ロケット「チョンム」を輸出する機会ができるのだ。
もちろんオーストラリア国内からも懸念の声は聞かれる。
民間軍事専門家のチェ・ヒョンホ氏は「オーストラリア海軍の潜水艦とイージス艦事業費が予想を上回り軍備拡張に対する反対世論も高い」と話す。
しかしオーストラリア政府は軍近代化を強行する見通しだ。
周りにこれといった「主敵」がいないオーストラリアがなぜそうなのか。
オセアニア大陸にあるオーストラリアは周囲を海で囲まれた。
第2次世界大戦当時日本を除いてオーストラリアを狙った国はない。
オーストラリアは伝統的にインドネシアを潜在敵国とした。
インドネシアは1962年のニューギニア島西部占領と1999年の東ティモール独立をめぐりオーストラリアと対立を生じさせた。
しかしオーストラリアとインドネシアは2006年に相手方に対する主権、領土統合性の尊重を明示するロンボク条約を結んだ。
『2020年国防戦略更新』にヒントが隠されている。
この白書には主敵がない。
ただ「インド太平洋地域で中国はさらに大きな影響力を積極的に追求している」と出ている。そうだ。オーストラリアはあからさまな話はしていないが、中国を潜在敵国に変えたのだ。
この程度の表現でも露骨に中国を示すというオーストラリア内部の評価もある。
オーストラリアはもちろん中国と単独で対抗しようとするのではない。
同盟国である米国、そしてインド太平洋戦略のパートナーであるインド、日本と協力して中国に対抗しようとする。
だがもし中国が武力攻撃をする場合には厳しい教訓を与える軍事力を備えることがオーストラリアの対中抑制戦略だ。
そのためオーストラリアは兵力は少ないが、長距離精密打撃能力だけは最高水準を維持しようとする。
中国はオーストラリアの最大貿易相手国だ。
オーストラリアは中国の6番目の貿易相手国だ。
オーストラリアの輸入工業製品の25%が「メイドインチャイナ」だ。
オーストラリアの輸出の13%が中国に送られる石炭だ。
経済関係は緊密だがオーストラリアは政治・外交・軍事的には中国とぎすぎすしている。
特に中国が東南アジア諸国と南シナ海で領有権紛争を起こし、これらの島を軍事基地化したことがオーストラリアの神経を逆なでした。
韓国外国語大学国際地域大学院のパク・ジェジョク教授は「オーストラリアは中国が南シナ海の軍事基地を踏み台として武力行使することを恐れている」と話した。
1日に『2020年国防戦略更新』と『2020国防構造計画』を公開し、同国のモリソン首相が「わが地域は第2次世界大戦以降最も重要な戦略的再編成過程にある」と話した理由だ。
オーストラリアは香港国家安全法制定過程で中国が香港デモ隊を過激に鎮圧したことに対し反対した。
また、新型コロナウイルスの起源に対する調査を中国に要求した。
すると中国は経済的圧力を与えるためオーストラリアの輸出品リストを作り関税賦課と非関税障壁を検討することもした。
6月にオーストラリア戦略政策研究所が、中国が海外の中国人地域社会と海外の知識人層に影響力を行使して中国の利益を取りまとめているという報告書を発表すると、中国はすぐ反発した。
オーストラリア海軍の軍艦は先月中国が領有権を主張する南シナ海のスプラトリー諸島(中国名・南沙群島)近海で中国軍艦と5回にわたり対峙したとの報道もある。
オーストラリア世論とメディアで反中感情を刺激する事件が最近相次いだ。
中国がオーストラリアへの影響力を拡大するために政界と学界に対する工作を行っていたのが露見したのだ。
中国は中豪関係研究所(ACRI)と中国平和統一促進オーストラリア委員会(ACPPRC)という組織を通じ、それぞれ学界と政界を後援した。
これらの組織は在豪中国大使館と領事館の指示を受けたものと疑われている。
特に不動産開発で大金を稼いだ中国系オーストラリア人の周沢栄と黄向墨が背後にいる。
2016年にオーストラリア国立大学(ANU)が周と黄の寄付金を受けた事実に対しオーストラリア安全保障情報局(ASIO)が調査に着手した。
2017年7月に親中派の労働党サム・ダスティヤリ上院議員が中国共産党と関連した中国系企業から政治後援金を受け取り情報を流していた容疑で辞任した。
ダスティヤリ議員は普段から南シナ海問題などで中国を擁護する発言をしてきた人物だ。
2018年5月にオーストラリアの高官であるジョン・アッシュ氏が周から高級プレゼントを受け取っていたという暴露が出てきた。
昨年11月に中国人民解放軍所属スパイである王立強がオーストラリアに亡命を申請し、「中国情報当局の指示によりオーストラリアでスパイ活動し、指示を受けた命令には暗殺まで含まれていた」と暴露した。
こうした中国の「影響力工作(Influence Operations)」は逆効果を生んだ。
ターンブル前オーストラリア首相は中国を名指ししてオーストラリアを対象に「秘密(covert)」「強圧(coercive)」「腐敗(corrupting)」工作をしていると非難した。
米国が主導するインド太平洋戦略でオーストラリアは重要な役割をしている。
オーストラリアは米国の伝統的同盟国だ。
そのため米国、英国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドの5カ国情報協力体制であるファイブアイズのひとつがオーストラリアだ。
オーストラリア内陸のパインギャップという所に米国とオーストラリアが共同で建てた大規模モニタリング施設がある。
中国が狙う南シナ海と東シナ海をこの施設が担当する。
オーストラリア北部ダーウィンのオーストラリア空軍基地に2012年から米海兵の空地任務部隊(MAGTF)2500人が循環配置されている。
オーストラリアは中国の脅威を掲げてインド太平洋戦略に積極的に参加している。
先月フィリピン海で米国・日本と海上訓練を行った。
今年末にインドが主導する米国、インド、日本の多国籍海上訓練であるマラバールに参加する可能性が高い。
オーストラリアは2017年にこの訓練にオブザーバーとして参観した。
インドが中国の反発を懸念し正式招待することはなかった。
だが今年は中国と国境武力衝突が起きインドの立場が変わった。
マラバールはインド太平洋戦略の4カ国がすべて集まり中国と戦う訓練という事実をそのまま見せる格好だ。
中国はこうしたオーストラリアを相手に留学から貿易まで全方向で圧迫を加えている。
しかしオーストラリアはびくともしないでいる。
オーストラリアと中国の政治的対立にもかかわらず、上半期のオーストラリアの対中製鉄用石炭輸出は前年同期比67%増の2400万トンだった。
このように中国に経済的に依存しているが、中国が買わなくても売るところは多いというのがオーストラリアの論理だ。
パク・ジェジョク教授は「オーストラリアは中国を相手にできるレバレッジを持っているが、米国の肩を持ちインド太平洋戦略をともに追求している」と評価している。(中央日報より/2020.8.3)
親中派と言われる日本の政治家や企業は、賄賂などを贈られて寝返っていると言われています。
経済的に大きな国かもしれませんが、オーストラリアのように、「中国が買わなくても売るところは多い」と、迅速に舵を切るのは日本も見習うべきではないでしょうか。
元々、高い技術力のある日本人です。
日本の細やかな技術力で様々な国と貿易をし、脱中国依存に進んだ方が良いのではないかと思います。
フランスは3日、中国政府が香港国家安全維持法を施行したことを受けて、香港との犯罪人引き渡し条約を停止すると発表した。
仏外務省は声明を発表し、国家安全維持法は香港の「一国二制度」の原則に疑問を投げ掛けるものと批判。
「最近の動向を考慮し、香港との犯罪者引き渡し条約の批准を進めない」意向を示した。
中国と西側諸国との関係は中国のイスラム系少数民族ウイグル人への対応や通信機器大手の華為技術(ファーウェイ、Huawei)の動きをめぐって悪化しており、国家安全維持法の導入によって両者の緊張はさらに高まっている。
香港との犯罪人引き渡し条約については、これまでに英国やドイツも停止を明らかにしている。(AFP BBnewsより/2020.8.4)
また、香港との犯罪人引き渡し条約を停止する国が増えましたね。
香港の国家安全維持法は、もともと決まっていた国際条約を破るものですから、反発が出るのは身から出た錆と言えます。
中国漁船「インドネシア人船員遺体海中投棄」にブチ切れた政府の矛盾
インドネシアの海上保安庁は7月22日、「海上情報センター(IMIC)」という新たな組織を発足させた。
これは、周辺海域の海上で起きる様々な事件に関する情報を集約、管理して、海軍をはじめとする各関係機関、周辺国の同様の組織と情報を共有するためのものだ。
インドネシアでは以前から省庁間や国境を横断した情報の集中、管理、共有の必要性が叫ばれていたが、最近相次いで発覚した中国漁船に同乗しているインドネシア人船員に対する過剰労働、虐待、さらに死亡した際の遺体海中投棄などといった深刻な人権侵害事案が国民の怒りを爆発させたこともIMIC発足の一つの大きな要因になったといわれている。
さらにインドネシア外務省は、新たに4人のインドネシア人船員が乗り組んで働いていた中国漁船で操業中に死亡し、その遺体がインド洋、太平洋に投棄されていた事案を確認、
中国の王毅外相や在インドネシア中国大使に真相究明と再発防止を直訴する事態に発展している。
中国が一方的に権益を主張している南シナ海の領有権問題でも、
「あくまで2国間の問題であり、2国間で話し合いによる解決を目指したい」とする中国に対して、インドネシアは
「中国の権益主張は国際ルール違反であり、2国間にそうした問題は存在せず、話し合う必要性がない」と断固とした姿勢を貫いている。
このためIMICの創設を通してさらに中国には毅然とした立場を示す形となり、中国側の反発も予想される事態となっている。
インドネシアは国土が南北1888キロ、東西実に5110キロに広がる、海に囲まれた約1万3500の島からなるいわゆる群島国家である。
東西海路の要衝マラッカ海峡、南北に抜けるロンボク海峡などを抱え、インド洋、太平洋、南シナ海に面しているため、海洋交通・貿易上も領海警備上も広大な海域に目を光らせる必要に迫られている。
ところが実際には海軍、沿岸警備隊などの治安組織のほか、海洋水産省の漁業監視機関、事故・遭難・災害などであれば国家捜索救助庁、国家災害対策庁などの海上部門が入り乱れることになり、通信系統、情報共有などの面で混乱が生じ、必ずしも迅速で効果的な対応がとれてきたわけではなかった。
こうした反省点から、より効率的で各省庁横断的な組織が必要となり、沿岸警備隊の中に新たな機関としてIMICを創設して本格的な運用に乗り出したのだ。
7月22日に発足したIMICは、約半年前に海軍内に創設された「海軍情報センター」と「海の国防と安全確保」という形で役割分担をしながら、主にインドネシア周辺の海域で密輸入、違法な漁業操業、海賊や強奪などの犯罪行為、人身売買事案などに関する情報を集中的に取り扱い、それを関係機関にオンラインなどを通じて迅速に伝える役割を果たすことになるとしている。
インドネシア領海内では2020年1月から6月までに海賊行為や類似の強奪事件が13件発生しており、これは昨年同期の約2倍になるという。
インドネシア領海外の東南アジア海域での同様事案も倍加する傾向をみせているという。
こうしたことからシンガポールやマレーシア、フィリピンなどの海上法令執行機関、沿岸警備組織などとの海外ネットワークもIMICを通じて一元化して、領海を超える事案や国際海域(公海上)での犯罪、事故などへの対応も国の壁を超えて効率的に行うことを目指すとしている。
IMIC創設を急がせた背景の一つとして、2019年11月から次々と明らかになった、中国漁船に乗り組んでいるインドネシア人船員への人権侵害問題がある。
インドネシアでは4月末に韓国・釜山に寄港した中国漁船で、太平洋サモア沖海域で操業中に死亡したインドネシア人男性乗組員の遺体を海中に投棄していたことが同僚によって撮影された動画で明らかになり、大きな問題となった。
中国漁船側は「止むを得ない措置であり、丁重に葬った水葬である」と主張するも、航海中の低賃金、18時間連続労働、海水飲用強制など過酷な労働環境が次々と明らかになった。
インドネシア人船員の遺体の海中投棄は別の中国漁船でも行われており、インドネシア側は中国に遺憾の意を示すとともに国連人権理事会(UNHRC)に問題提起する事態に発展した。
その後もマラッカ海峡で過酷な労働環境から逃れるために中国漁船から海に飛び込んで脱出したインドネシア人船員2人が漂流の末救出される事件も起きるなど、中国漁船の人権侵害がインドネシア、中国の新たな2国間外交問題としてクローズアップされていた。
インドネシア外務省や外国船で働くインドネシア人船員を支援するNGO「インドネシア船員権利保護監視団(DFW)」などによると、5月6月に操業中の中国漁船で死亡し、遺体が海中に投棄されたインドネシア人がさらに4人いることがわかり、これまで判明した死亡事案は合計で12人となった。
この4人に関してはシンガポール、北京、広州にあるインドネシアの出先機関を通じて死亡船員の遺体の引き渡しを当該中国漁船に求めたにもかかわらず海中投棄されたという。
外務省では「止むを得ない事情の時は航海中の死者を水葬とするのは海の慣習といわれているが、寄港して遺体を下ろすことができない、冷凍設備での保存ができないなどの状況での最後の手段であるべきだ」と中国側に釘をさし、当該中国漁船がそういう状況にはなく、人権上問題があるとの立場を明らかにしている。
24時間のホットラインでインドネシア船員からの連絡や情報提供を受け付けているDFWによると、依然として中国漁船に乗り込んだことになっている2人のインドネシア船員が行方不明となっているとして、さらなる情報収集を続けている。
こうした外国漁船に乗り込むインドネシア人船員、海賊被害にあったインドネシア船籍の船舶などは、これまでどの組織・機関に連絡すればいいか必ずしも明確ではなかった。
が、今後はIMICに連絡を一本化し、IMICから事案の内容に応じて海軍、沿岸警備隊、国家捜索救助庁などに通報、至急の対応、支援を要請することで迅速救援、容疑者・容疑船舶の拘束、拿捕を実現したいとしている。
こうした新たな事案発覚なども受けて、インドネシアのレトノ・マルスディ外相は7月30日、中国の王毅外相とのオンライン会談の席で、「インドネシア政府は深い関心をもっている。こうした事案に対する調査を行い、過剰労働や死者の水葬などに関して法に基づいた対処を中国政府に求めたい」と述べて、連続する類似事案への深い関心を示しながら事態の真相究明、再発防止に向けた中国側の協力を求めた。
インドネシア外務省によると王毅外相は会談で「インドネシア側の求めに応じて特に調査を行いたい」といった旨の発言をして今後調査を実施することで合意したとしている。
これより前の7月28日には、ジャカルタの中国大使館から肖干大使を呼んでインドネシア外務省は「これまでの事案の調査」を改めて要求、中国側は「事態を深刻に受け止めている」と述べたという。
しかしインドネシア側は、これまでも同様の申し入れや要請を同大使を通じて何度も行っているものの、その後調査に関する新しい情報も報告もないのが実状といい、中国側がどこまで真剣にこの問題に対処しようとしているかは「疑問」であるとの見方も示している。
一方、インドネシア側はインドネシア人船員への人権侵害が明らかになったことを深刻に受け止め、中国漁船にインドネシア人船員を派遣していたインドネシアの斡旋会社を「人身売買容疑」で摘発、代表者らを逮捕するなど具体的な動きで再発防止に乗り出しているほか、中国漁船の責任者である中国人の身柄も拘束するなど真剣な対応を続けている。
というのも中国漁船の遺体海中投棄は「死者は白い布にくるんで顔をメッカの方角に向けて土葬する」というイスラム教の「葬礼」を無視したものであり、撮影された動画からは禁忌とされるアルコールを遺体に振りかけて船上から海中に投棄する「水葬」方法が明らかになったことが影響している。
こうしたイスラム教を無視した埋葬方法が人口2億6700万人の約88%を占めるイスラム教徒の大きな怒りを招き、それがインドネシア社会の反中国気運の高まりを促しているという背景があるからだ。
中国漁船の船長などは「死亡したインドネシア人船員は感染症の可能性があり、他の船員への感染の危険があった」とこれまで捜査当局に「水葬を正当化」する供述を繰り返しているが、死亡したインドネシア人と同じ漁船に乗り組んでいた同僚のインドネシア人船員などからは「死因は感染症などではなく、過酷な労働による病死、暴力による外傷などである」と証言している。
このため中国漁船側が「コロナウイルス感染防止」を自己正当化の口実に利用している可能性が極めて高く、「非人道的で悪質な対応」との見方がインドネシアでは広まっているのだ。
こうしたインドネシア人船員への非人道的対応を含めた海上で発生する様々な事案への対処を目的としたIMICの設置、さらに南シナ海で中国が一方的に主張する「九段線」の一部がインドネシア領ナツナ諸島北海域でインドネシアの排他的経済水域(EEZ)と重複するという中国側に対しても「重複などしていない。そもそも九段線は国際的に認められない」と一蹴するなど、対中国外交においてジョコ・ウィドド政権はかつての親中外交から「中立等距離外交」に舵を切ろうとしていた。
ところが最近、コロナウイルス対策では再び中国頼みの姿勢があからさまになりつつあり、ジョコ・ウィドド大統領の方針転換の動きに「一貫性に欠ける」「風見鶏外交ではないか」との批判も出始める事態となっている。
新華社やインドネシアのメディアによると、ジョコ・ウィドド大統領は7月13日、コロナウイルスのワクチン開発をインドネシアの国営製薬会社と中国のシノパック・バイオテック社が共同で進めることとし、すでに共同の臨床試験に着手していることを明らかにした。
インドネシアはコロナ感染者数、感染死者数で東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国中最も多い数字、感染者数は10万人超、感染死者数は5000人以上(8月1日現在)となっており、コロナ感染の拡大防止が政権にとって最大の政治課題となっている。
そのため、中国とのワクチン製造分野での協力も「背に腹は代えられない」状況での苦肉の選択となった。
しかし、こうしたジョコ・ウィドド大統領の対中協力姿勢に中国側がコロナ・ワクチン製造での協力の見返りとして何らかの政治的要求を出してくるのではないかとの警戒感があることも事実だ。
「コロナ対策と海上権益やインドネシア人船員への人権侵害事案は全く別の次元の話である」というインドネシアの基本的立場に、果たして中国がどこまで理解を示すのかが注目されている。(現代ビジネスより/2020.8.4)
いろいろな国が中国とのトラブルを報道されていますが、インドネシアは中国漁船で働く船員が過酷な労働や暴力を受け死亡し、遺体を海に投げ捨てられるというショッキングなものでした。
上記のインドの国境付近での乱闘もそうですが、このようなニュースがあると、中国に対する国民感情が更に悪くなりますよね。
国民感情は悪くなっているが、コロナのワクチン開発においては協力するという、やや中途半端な対応は日本を思わせなくもないような・・・
インドネシアも今後どのような対応をしていくのか見ていきたいですね。
尖閣諸島にプレッシャーをかけ続けらえている日本も、毅然とした態度で対応してほしいと思います。
そして、北海道を始めとした全国に中国人に購入されている土地を取り戻してほしいと個人的には思います。
年末にかけても様々な動きがあると思いますので、注視していきましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。